刃物紀行ー久米島博物館の短刀(鎧通し)ー

カニマン

2017年09月22日 08:54

久米島博物所蔵の短刀(鎧通し)
沖縄では珍しく短刀(鎧通し)がある。久米島旧仲里村儀間部落出身の方が戦前購入し孫が博物館に寄託した物で概観し古そうである。
◆短刀(鎧通し)概況
長さ282ミリ・刃渡り181ミリ・巾19ミリ・厚さ5mm・柄の長さ101ミリ、ハマキと鞘、目くぎが欠損する。柄には鮫皮が巻かれているが柄の下が剥がれている。刃部裏表には、凡字らしきのが彫られていたと思われるが、研ぎにより磨り減り一部分に残る。柄の前後に二枚板を合わせ絞めるために糸が巻かれている。
◆短刀(鎧通し)用途
日本本土では短刀(鎧通し)の用途は、名称のとおり鎧の隙間から刺す武器である。沖縄では別の用途に用いられていた。久米島の洞穴風葬墓の発掘調査で短刀(鎧通し)らしき刃物の出土がある事からシーグ(巣具)として用いていた可能性がある。持ち主であった方刃は、旧仲里間切(村役所)の役人であったことから短刀(鎧通し)を事務の道具として用いていたのかも知れない。
写真
写真①:刃部裏表に残る凡字らしき彫り


写真②:右側面 刃先は下向き


写真③:左側面 刃先は下向き


写真④:柄拡大 サメ皮巻きと柄板を閉める糸巻きが前後に見られる